ちきちき ばんばん

先日、絵本作家の

井上洋介さんが亡くなられた。

84歳。

「くまの子ウーフ」と聞いたら

知っているひとも多いだろうか。



いい絵本をたくさん

残してくださいました。

わたしが10年ほど前に

お会いできた時は

おそれ多すぎて

あまり喋れなかったのですが

こころよく一緒に写真を

撮ってくださったのを

覚えています。

震えました。

よい絵本は、

いつまでも残ります。  

おすすめの絵本ある？

と、よく聞かれることがあります。



そんな時に、定番のものに加えて

よくすすめるのが

長新太さん。

ナンセンス絵本の天才です。

・キャベツくん

・ごろごろにゃーん

・みみずのオッサン

・さかさまライオン

・ちへいせんのみえるところ

・だくちる だくちる

・ゴムあたまポンたろう

などなど、

生涯、『おもしろい』絵本を

つくり続けた方です。

子どもに媚びる絵本のような、

（媚びる絵本が悪いわけではないけど）

カワイイ、カワイイ

絵本ではないけれど

読んだ子をトリコにします。

ページをめくるたびに

想像をうらぎる

突拍子のないできごとが

笑いを誘います。





長さんのやわらかい頭から生まれる

創作のお話には

はてしない不思議さもあるようです。  

東京の吉祥寺に

それはそれは濃厚な本屋があります。

その店の名はトムズボックス。

長新太、井上洋介、荒井良二、

スズキコージ、たむらしげる、

片山健、和田誠、宇野亜喜良、、、

あげ出したらきりがないほど

素晴らしい、

という言葉だけですませられないほどの

作家の数々の作品と出会える場所。


それだけでなく、新人作家の発掘で

絵本界に新しい風を吹き込んだ店主の土井さん。


わたしも十年前、

土井さんに作品を見てもらったことがあります。

土井さんはお酒をひっかけながら

陽気に、でも鋭く、批評してくださいました。


そんなトムズボックスが

昨日幕を閉じました。

最後いくことができなかったのが心残りだけど

「絵本の古本屋をするという噂は噂ではありません」

という土井さんの言葉を胸に

すこし遠いところから

想いをはせて、絵本をひらきます。




  

長新太という

ただものではない

アヴァンギャルドな

絵本作家がおりました。


長さんは、在るものにこだわらず

生理的に心地の良いものを

描くことのできる方である。


いま、気持ちのよいと思うカタチ

いま、気持ちのよいと思うセン

イロ、コトバたち。


あたまはフニャフニャに

やわらかいのであろう。

そんなあたま

どこかに落ちてないかな。